Edwin Powell Hubble
エドウィン・ハッブル(Edwin Powell Hubble, 1889年11月20日 – 1953年9月28日)は、アメリカの天文学者で、現代宇宙学の発展に大きく貢献した人物です。彼の業績は、宇宙の広がりに関する人類の理解を劇的に変えました。特に、銀河が宇宙に広がる多数の島宇宙であることを証明し、宇宙が膨張していることを発見したことで知られています。
1. 生涯と背景
- 生誕と教育:
1889年、ミズーリ州マーシュフィールドで生まれました。その後イリノイ州で育ち、シカゴ大学で数学と天文学を学びました。その後、オックスフォード大学に留学し、法律を専攻しましたが、天文学への関心が強まり再びこの分野に戻りました。 - 職業の始まり:
第一次世界大戦後、カリフォルニア州にあるウィルソン山天文台で天文学者として働き始めました。ここで彼は巨大なフッカー望遠鏡を使用して画期的な観測を行いました。
2. 主な業績
① 銀河の分類と「銀河が宇宙の外にある」という発見
1920年代、ハッブルはフッカー望遠鏡を用いてアンドロメダ銀河を観測しました。彼は銀河内にセファイド変光星を発見し、その変光周期と明るさの関係を基に距離を測定しました。この結果、アンドロメダ銀河が私たちの天の川銀河の外にあることを初めて示しました。これにより、宇宙が単一の銀河ではなく、多数の銀河からなることが明らかになりました。
② ハッブルの法則と宇宙膨張の発見
1929年、ハッブルは多数の銀河の赤方偏移を観測し、これらが地球から遠ざかっていることを発見しました。さらに、銀河が遠くにあるほど速く遠ざかるという「ハッブルの法則」を提唱しました。この観測結果は、宇宙が静的ではなく膨張しているというビッグバン宇宙論の基礎を築きました。
3. 宇宙学への影響
- ハッブルの発見は、アインシュタインの一般相対性理論とビッグバン宇宙論に大きな影響を与えました。アインシュタイン自身は、静的な宇宙モデルを支持していましたが、ハッブルの成果を受けてそれを「最大の過ち」と認めました。
- ハッブルの法則は、宇宙の膨張速度を示すハッブル定数の基盤となり、今日でも宇宙の年齢や構造を理解するための重要な要素です。
4. ハッブル宇宙望遠鏡
1990年に打ち上げられた「ハッブル宇宙望遠鏡」は、彼の名前にちなんで命名されました。この望遠鏡は、地球の大気の影響を受けない鮮明な観測を行い、宇宙の果てに至るまで詳細な画像を提供し続けています。ハッブル宇宙望遠鏡は、銀河の形成、暗黒物質や暗黒エネルギーの研究においても重要な役割を果たしています。
5. 遺産と評価
エドウィン・ハッブルの業績は、宇宙の構造と進化に関する科学的理解を大きく前進させました。彼の発見は天文学だけでなく、哲学的にも「人間が宇宙で占める位置」に関する認識を変えるものとなりました。
ハッブルは、宇宙の広がりを解明した「宇宙の地図製作者」として、天文学史に名を残しています。